いい本見つけた!
—定方 晟 著—「空と無我—仏教の言語観」
石飛 道子
pp.1070-1072
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903862
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二元対立を超える道
因と縁
今となっては思い出せないが,何かの縁で私は看護学校で論理学を教えることになり,さらに,それが縁となって,巡りめぐって,門外漢の私がこのような立派な雑誌につたない文を書く機会をいただいた.
縁とは不思議なものだと思う.「縁」というのは「つながり」とか「巡り合わせ」というぐらいの意味だが,もともと仏教で用いられた言葉である.仏教では,あらゆる事象は因と縁によって成り立っているのだという.そう思うと,今このようにある自分も,過去のさまざまな出来事や人々を縁としてあるのであって,けっして自分ひとりでできあがってきたものではないし,また,今こんな風に書いている自分もまた他の人の何かの原因になっているかもしれないとも思う.こうして,自然と私たちは,諸行無常,あらゆるものはみな移りゆく,という仏教の教えにしみじみ共感してしまうのである.
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