Japanese
English
シンポジウム 外傷に伴う呼吸器合併症の予防と治療
骨折患者に発症した肺血栓塞栓症
Pulmonary Thromboembolism Occurred in the Patient with Fracture
加藤 宏
1
,
長谷川 栄寿
1
,
辺見 弘
1
,
木下 藤英
2
,
星野 瑞
2
,
倉本 憲明
3
,
川井 真
4
,
大泉 旭
4
,
原 義明
4
,
山本 保博
4
Hiroshi Katou
1
1国立病院東京災害医療センター救命救急センター
2国立病院東京災害医療センター整形外科
3国立病院東京災害医療センター放射線科
4日本医科大学高度救命救急センター
1Department of Critical Care and Traumatology, National Hospital Tokyo Disaster Medical Center
キーワード:
pulmonary thromboembolism
,
肺血栓塞栓症
,
enhanced helical CT
,
ヘリカル造影CT
,
inferior vena cava filter
,
下大静脈フィルター
Keyword:
pulmonary thromboembolism
,
肺血栓塞栓症
,
enhanced helical CT
,
ヘリカル造影CT
,
inferior vena cava filter
,
下大静脈フィルター
pp.607-612
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100701
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抄録:骨折治療中に発症した肺血栓塞栓症(PTE)4例を提示した.症例1(58歳,女性,下腿骨骨折)は受傷8日(術後6日)に突然のショックから死亡に至り,剖検で診断された.症例2(60歳,男性,胸椎骨折),症例3(36歳,男性,骨盤骨折),症例4(52歳,男性,下腿骨骨折)は,各々受傷19日(術後15日),14日(創外固定中),5日(牽引中)に突然呼吸困難と低酸素血症が出現した.いずれも胸部X線や心電図には異常を示さなかったが,引き続き実施したヘリカル造影CTで肺動脈内血栓を認め,直ちに抗血栓療法を開始して症状改善が得られた.PTEは骨折患者の年齢や時期を問わず生じる重篤な合併症のため,積極的な初期検索と早期治療が求められるが,今回ヘリカル造影CTにはスクリーニング検査としての高い有用性が示唆された.また,症例4はPTE発症後に内固定を実施したが,手術侵襲に伴う再発防止には一時留置型下大静脈フィルターの併用が安全かつ有効であると思われた.
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