フロントライン・2000 ジェンダー
視点としての看護士—「あたりまえのこと」をみるために
矢原 隆行
1
1福山市立女子短期大学
pp.1036-1040
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903593
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はじめに
現在の世の中に,看護婦という職業の存在を知らない人がいったいどれほどいるだろうか.医療に直接かかわりのない多くの人々にとってさえ,看護を行なう職業としての「看護婦」は,きわめてあたりまえの存在であるといってよい.だが,看護という仕事を行なうものは決して看護婦(女性)ばかりではない.看護職には,看護婦と同一の資格を有する看護士と称される男性看護職員が含まれる.
人数の面からみると,国内の看護職に占める看護士の数はきわめて少ない.日本看護協会が平成11年に発表した統計1)によれば,1996年の時点で,看護職就業者(准看も含む)全体である97万人余りに占める看護士(准看護士も含む)の比率は約3.6%.また,男性看護職員の配置に関する調査結果2)によれば,そうした男性看護職員のうち約半数は,精神科病棟への配置という偏った状況にある.
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