特集 家族のみつめ方・支え方
ある家族との17年—看護婦として,人間として,家族に向き合う
川合 榮子
1
1社会保険都南総合病院
pp.528-531
発行日 2000年6月1日
Published Date 2000/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903485
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「彼女」との出会い
1982(昭和57)年10月,彼女は地方の大病院で治療した大腸がんの局所再発の診断を受けた.命はないとの宣告に,しかしあきらめられず,日本一のがん専門病院をと,首都圏にあるがんセンターを選んだ.
当時,私は3歳の次男の世話を義母に依頼し病棟に勤務していた.そこではじめて彼女と出会う.私が卒業した看護学校は彼女の家に近い町にあり,そんな話から私たちは互いに親近感を抱くようになった.骨盤内臓全摘という大手術を終えた彼女は次第に回復し,やがて退院の時期を迎えた.地方に根強い風習で「彼岸に退院するのはいやだ」としぶる彼女に,私が郷里の新潟に帰るときには彼女の家の側を通るから,必ずまた会えると約束して,退院を促し説得した.
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