研究と報告
新卒看護職養成体制の現状分析—国公立校の養成ポジション
守屋 研二
1
1自治医科大学看護短期大学
pp.1123-1126
発行日 1992年12月1日
Published Date 1992/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900763
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はしがき
戦後ほどない1950(昭和25)年11月,現在の3年課程の高等看護学校にほぼ相当する甲種看護婦学校は,全国に88校が設置されていた.内訳は,国立病院・同療養所付設の25校,国立大学医学部附属の11校,逓信・国鉄などの6校,日本赤十字立25校,地方自治体立・私立各5校と,半数以上の47校が国公立校であった1).約5年半後の1956(昭和31)年4月には,3年課程の教育機関は161校に増え,1学年定員は4415名,入学志願は2万5208名,入学者数は3834名を数えるなど,将来,新卒看護職として期待される人材の養成体制は増強された.しかし,1959(昭和34)年には全国的な看護婦不足に直面し,以後,不足が常態化する中で養成体制の強化が絶えず問題とされるようになった.とりわけ,国や地方自治体による養成体制の一層の強化が必要であるとの指摘は,現在にいたるまで変わらない.その根拠は,「国民の健康を守る看護職の養成は行政の本来的な使命である」との見解にある.反論の困難な立論である.
この稿の目的は,日本の新卒看護職養成体制につき,設置主体別・学校種別に学校数・学生定員(1学年定員)・教員数に関して,量的側面から現状分析を行ない,問題点を発掘することにある.なかでも,国および自治体による新卒看護職の養成ポジションを明らかにし,養成体制の強化策を考える際の基礎資料を提供することをめざしている.
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