特集 いま,魅力ある職業に向けて
看護婦の健康対策を考える
久繁 哲徳
1
1高知医科大学公衆衛生学教室
pp.704-712
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900438
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健康専門職の健康
疾病構造の変化や人口老齢化の急速な進展に伴ない,保健医療の内容にも大きな変化が生じた.とくに生活の質および生活様式の改善にとって,看護の果たす役割は極めて大きい.そのため,看護のあり方をめぐってさまざまな論議が行なわれている.しかし,質の保証された看護を提供するためには,なによりもそうした看護によってもたらされる看護婦への健康影響の評価とともに作業・環境・健康管理の確立が最低限の条件と考えられるが,看護体制の見直しにおいても,十分な検討が行なわれてこなかった.
看護婦は,さまざまな医療サービスや医療設備が容易に利用できるため,健康管理が十分に行なわれており,また自分自身の健康管理に十分な能力があると思われがちである.しかし,従来より病院は,予防よりも治療に重点をおいており,とくに職場の安全衛生に関する専門家は見当たらない.そのため,こうした病院内の環境については,その安全性,有害性,危険性が把握されておらず,対策だけでなく作業者への説明,健康管理も十分に行なわれていない.
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