特集 看護に提言する
看護婦の転・退職から考えること
山本 善信
1
1兵庫県立柏原病院
pp.40-43
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204988
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●はじめに
「病院」編集室のほうから首題についての原稿の依頼を受けたとき,はじめ私は,ちょっとためらった.けれども,現在日本の病院では,看護婦が結婚などの理由からではなく,他に何らかの理由で転職を考えなければならないという切迫した事情もかなりにあると思われるので,これを機会に看護婦という職業を私なりに見直したい気持もあって,あえてお引き受けした.
私の奉職する病院は,郡の人口が約7万人の田園過疎地帯にあって,丹波・但馬地方の胃がん,子宮がんに対する検診センターを持ち,地域の救急医療を行なう唯一の病院でもあるので,年間約2000名の退院患者のうち,4分の1を交通外傷による救急患者で占められており,悪性新生物患者がこれに次いで多い,また地域の中核病院としての色彩が濃く,重症患者が集まってくるために,退院患者の死亡率は7%を上回っている.したがって,医師や看護婦にとっての勤務条件は,最もきびしい病院のひとつであろう.
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