ニュース診断
看護婦闘争を考える
井下田 猛
1
1思想の科学研究会
pp.68
発行日 1969年5月10日
Published Date 1969/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204434
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あいかわらず混迷している大学紛争にまじって,看護婦さんの夜勤制限闘争がしきりに行なわれている。
3月末上映の東映ニュース映画「ある看護日誌」でも,深夜勤についている激しい看護婦の実態を報道している。東京都北療育園では,3日目ごとに深夜勤(夜中の12時から朝8時まで)がまわってきている。ここでは,子どもの患者が主体だが,その子どもらを間断なく見廻る看護婦の勤務ぶりが紹介されている。日中の勤務も,夜間とまったく同様に子どもたちの大・小用の世話から,ふとんのかけなおし,食事・入浴一切がすべて看護婦の両肩に重くのしかかっている。あまりにもの過重勤務だが,彼女たちは「肉体的な疲れはしょっちゅう,しょっちゅうあるんです。しかしそれよりも,手がないために,子どもたちにとけこみ,子どもたちを理解してやれないことがもっともつらい」といっている。いたいけな,それでいていじらしいの一言につきる訴えだが,3月17日放映の「マスコミQ」(TBSテレビ11時15分,なおこの番組みは3月で終了)も,深夜勤(ここでは,夜11時から朝8時半まで)に従事しているひとりの看護婦が一病棟をたった一人で勤務する"ひとり夜勤"の生まの姿を報じていた。ここには,ひとりの働く看護婦を執拗にテレビ・カメラに描くことによって,現行制度のもつ欠陥をつきつつそれを"告発"する姿勢がありありとうかがえた。
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