特集 自己治癒力を高める技法とエビデンス
―カウンセリングの基本から学ぶ―自己治癒力を引き出す話の聴き方
宮田 敬一
1
keiichi Miyata
1
1大阪大学大学院人間科学研究科
pp.204-209
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101215
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自己治癒力を引き出す聴き方とは
自己治癒力を引き出す聴き方とはどういうものか.ここでは読者である看護師に向けて,心理療法の専門家の立場からカウンセリングの基本を解説する.
カウンセリングは,クライエントの自己治癒力を前提として行なわれている.たいていの人は,自分ではよくわかっていなくても,人生のライフサイクルで心理的な困難が生じると,自分の内にすでにある,生きていくための有用な体験,つまり,リソース(資源)を生かし,乗り越えていく.しかし,日常生活での困難が自分や家族では対処できない問題へと発展した人には,カウンセリングが適している.カウンセリングが効果的になるには,クライエントがまわりの人たちとの関係の中で体験してきた,自己内の肯定的なリソースに気づき,それを問題の解決のために利用できるような支援が望まれる.こうした人が生きていくための有用なリソース体験こそ,自己治癒力の中核をなすものである.
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