特集 自己治癒力を高める技法とエビデンス
ナースのための自己治癒力を高める患者対応
飯森 洋史
1,2
Hirofumi Iimori
1,2
1飯森クリニック
2国際心理社会実存医学研究所
pp.196-203
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101214
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はじめに
あなたがそこに ただいるだけで
その場の空気が あかるくなる
あなたがそこに ただいるだけで
みんなのこころが やすらぐ
そんな あなたにわたしも なりたい
相田みつお1)
これは相田みつおという書道家の言葉1)で,私のクリニックの壁のあちこちに彼の詩が掛かっています.私は昔,ちょっとした病気で入院したことがありますが,そこで今まで気が付かなかったことに気が付きました.たとえば担当の看護師さんがAからFまで6人居たとすると,残念ながら個々の看護師さんの間にとても差がありました.Aさん,Bさんはとても優しくて安らぐなあ,いつも来てほしいなあと思ったものでした.それに対してEさん,Fさんは自分の仕事を速く処理することばかり考えて,患者の気持ちなどちっとも考えていない,できれば違う人が来て欲しいなあと思いました.Cさん,Dさんは良くも悪くもないという具合でした.このような違いはどうして起こるのでしょうか.これを考えるために,心療内科領域で話題となる「治療的自我」という概念を紹介するところから始めましょう.
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