調査・研究
看護領域における呼吸介助技術の必要性―現職看護師の認識と現状との乖離に焦点をあてて
長川 博美
1
Hiromi Nagakawa
1
1社会保険栗林病院
pp.168-173
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101205
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はじめに
呼吸理学療法の一分野である呼吸介助法の目的について,石川らは「1回換気量の増加,気流速度の増加,呼吸パターンの正常化であるが,肺胞の低換気の予防や排痰も目的としてあげられる」と述べている1).このことから,呼吸介助法は看護基礎技術における「呼吸・循環を整える技術」2)に該当するのではないかと考えた.
しかしながら,今回調査を行なったA病院をはじめ,多くの臨床現場では,この技術を看護師が看護ケアとして取り入れて実施している頻度は極めて少ない.
理論と技術を習得すれば誰もが実施できる呼吸介助法は,救急医療(プレホスピタル)や在宅医療,災害時医療など医療機器の乏しい現場でも有用である.
現在の医学領域における法令において,呼吸介助法は一職種の独占業務という規制はない.それゆえ,医療機関内において終始,患者の傍にいる看護職が呼吸介助法の有効性を認識し,その技術を習得し活用することは,看護の質を高め,患者のQOLを充足させることにつながるのではないかと考えた.
「看護技術教育は,看護基礎教育,臨床での卒後教育の中で行なわれるものである」3)と定義されている見地から,本研究では看護職の呼吸介助法に対する認識を明らかにし,今後の看護職への効果的な技術の定着方法を見出したい.
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