連載 世界の感受の只中で・6
老い・6
天田 城介
1
1立命館大学大学院先端総合学術研究科
pp.928-932
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101099
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「われわれは,老人を受け入れ,老人差別を拒絶するという名のもとに,老年は捨て去ることができるものだとよそおうことにほぼ成功してきた.老人のニーズを満たすという名のもとに,老年の意味と社会的重要性の分析にもとづかずに,商業とテクノロジーのいいなりになって態度を決め,行動を支配されてきた.医学の進歩の名のもとに,死と衰えに容赦のない戦いをしかけ,それがよりすぐれた社会をもたらすものかどうかを深く問うことを怠ってきた.正しい問いは,老人により長い生命を与えることができるか否かではない.われわれが,老年を人生の立派な名誉ある一時期とするかどうかである.より長い人生も,さらなる延命テクノロジーも,この正しい目標への道ではない.」(Callahan 1987=1990:283)
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