特集 がん化学療法看護 セルフケア支援のABC 前編
悪心・嘔吐のセルフケア支援
濱田 真理子
1
1国立がんセンター東病院
pp.967-974
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100796
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悪心・嘔吐はさまざまな副作用の苦痛のなかでももっとも強く1),5-HT3受容体拮抗剤の登場後も化学療法を受ける患者の60%以上が経験しており,治療継続を難しくさせる要因となりやすい2).当病棟では,外来化学療法に移行予定の患者が外来移行後もQOLを損なうことなく治療を継続できるよう,入院中に副作用に対するコントロール感覚と予防・対処方法を習得し,外来移行後にセルフケア行動がとれる看護アプローチを目指している.本稿では,悪心・嘔吐のセルフケアに焦点をあて,とくに外来化学療法に移行する入院患者への看護アプローチの内容と実際について述べる.
A 悪心・嘔吐の頻度と現れ方
悪心・嘔吐を起こしやすいがん化学療法剤
悪心・嘔吐を起こしやすい化学療法剤を表1にまとめた.化学療法剤の種類のなかで白金製剤は催吐作用が強く,とくにシスプラチンはもっとも催吐作用が強い薬剤として有名である.悪心・嘔吐の強さや頻度は,各薬剤の特徴に加えて,投与量,投与方法,組み合わせ方によっても異なり,とくに催吐作用の強い薬剤が併用して使用される治療では,さらに悪心・嘔吐が引き起こされやすい3).患者に使用される薬剤の種類と投与量,投与方法から,悪心・嘔吐のリスクを把握しておくことが重要である.
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