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悪心とは咽頭~前胸部に感じる不快感のことをいい,消化管の内容物が口腔内に逆流することを嘔吐という.嘔吐はその原因により,中枢性,反射性,精神性,乗り物酔いなどでみられるその他,に分けられる.もちろん,詳しく病歴を聴取することが診断に際して重要であるが,消化器疾患が原因の場合には超音波検査でも所見が得られる.
消化器疾患では,消化管の閉塞や運動機能の低下により起こり,疾患としては,食道炎,アカラシア,胃炎,胃・十二指腸潰瘍,胃癌,大腸癌,幽門狭窄症,イレウス,腹膜炎,虫垂炎,胆石症,胆管炎,肝硬変,急性肝炎,慢性肝炎,急性膵炎,慢性膵炎,膵癌などが挙げられる.したがって,超音波検査で診断を行うためのポイントとしては,①消化管の閉塞部を直接描出する,②消化管の機能低下状態を観察する,③消化管の機能低下をきたす他の主病巣を描出する,などがあり,通常腹部スクリーニング検査で使用される3.5MHzのプローブのほかに高周波プローブを用いて腸管壁の状態などを細かく観察することも重要である(最近の装置では高周波プローブでも深部減衰が少なくなっており,10MHzでも腹壁から7cm程度まで観察可能である).消化管疾患を疑う場合,全消化管を超音波でスクリーニングするのは無理であり,腸液の貯留や異常ガス像などの間接所見に注目し,その末梢側を観察するようにして主病変を同定することが大切である.これらの疾患のなかで,超音波検査が特に有用な疾患としてはイレウスが挙げられる.イレウスは,機械的な閉塞で腸管の血行障害のない単純性イレウスと,血行障害を伴う絞扼性イレウス,機能的に腸管が麻痺して起こる麻痺性イレウスに分類される.単純性イレウスでは腸液がto and froとなり動くが,絞扼性になると限局した腸管の拡張で内容物の動きも少なくなり腸管壁の肥厚や腹水が著明となる.貯留した腸液内にKerckringの襞が浮かんで見える状態はkey board signともいわれ,特徴的な所見である(図1).また,忘れてはいけないのが若年の女性においての妊娠であり,非侵襲的な検査である超音波検査は有用な診断法となりうる(図2).
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