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看護職に期待される服薬支援とは何か
湯沢 八江
1
1国際医療福祉大学大学院
pp.467-472
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100720
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はじめに
継続治療としての服薬
臨床から在宅,場合によっては他施設へ移転する患者が増加し,退院時指導は今まで以上に患者の個別性を考慮して進めなければならなくなってきている.自宅でも何らかの継続治療を行なう患者が増え,特に服薬を継続しているケースは多い.在宅治療の毎日の服薬は,基本的に患者自身か家族によって管理され,その支援は,外来通院時に医師が患者の症状や検査により薬の効果を判定し,必要があれば服薬の種類や量を見直すなどして行なわれている.
これまで,こうした服薬支援に関する研究はもっぱら,患者の服薬コンプライアンスだけに関心が集まりがちだった.しかし,それだけでいいのだろうか.実際に薬を飲んでいないケースがあるという現実が残っていることはもちろん,患者が残さず薬を飲んでいればそれで問題はないといえるのかどうかは疑問である.看護職が行なう服薬支援の内容と方法は,単に薬を飲んでいるかどうか,服薬コンプライアンスが高いか低いかを問題にする医療モデルとは違うのではないだろうか.
では,服薬指導において看護職はどのような役割を担うべきなのだろうか.今回,退院時に看護職がどのくらい患者の服薬に関心を払い,どのようなアセスメントを行なっているのかについて,調査を行なった.また,服薬支援における医療チームの中での看護職の役割をどのように認識しているかについてもあわせて聞いてみた.その結果,服薬支援における看護職の役割と行動について,実態と今後必要とされる看護職への教育について示唆を得られたので報告する.なお,ここでは服薬(Medication)を「処方された内服薬による治療」とした.
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