特集 原因から見直す「ストーマ管理困難症」
ストーマのセルフケアを阻むもの
大村 裕子
1
1東京オストミーセンター
pp.210-213
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100689
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
ストーマ造設は,排泄という人間にとって最も基本的な機能の障害をきたし,随意排泄機能の喪失とともに現われる.人間は,成長発達の段階で早い時期から排泄の自立を達成し,終生他人の力を借りない排泄ケアを望んでいる.しかし,オストメイトはストーマ造設によって,腹部のストーマからの便や尿の排泄を目の当たりにしたり,ストーマ装具による排便・排尿管理という新たな排泄管理法の習得を余儀なくされる.
一方,水洗トイレの普及とともに,脱臭トイレや,排泄後の消臭スプレー,経口消臭剤などの普及にみるごとく,臭気に対して過敏ともいえる状況にある現代人にとって,ストーマ造設後の排泄管理を受け入れることは容易なことではない.
オストメイトがセルフケアによる排泄管理をスムーズに確立するためには,良いストーマが造設されることが重要であるとともに,術前,術後の経過に応じた適切なストーマケアや情報が提供されることが大切である.しかし,たとえこれらの条件がそろっていたとしてもオストメイトのセルフケアがうまくいかないことは少なくない.本稿ではセルフケア確立に必要なケアとは何か,およびストーマのセルフケアを阻むものは何かについて考えてみたい.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.