連載 悩めることも才能だ!―宮子あずさのお悩み外来⑬
受容と共感って可能なんでしょうか?
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.58-59
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100627
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受容と共感って可能なんでしょうか?
看護師は受容と共感を強く求められますよね,「ありのままのその人を受けとめる」「患者さんの気持ちによりそう」というように.でもそのことが本当に可能なのか,無理なんじゃないか,とニヒルな気持ちになっている自分がいます.きっかけは,ある患者さんとのやりとりで,「健康なあなたに私の気持ちはわからない!」とキレられたことです.私の言い方もきつかったかと反省もある一方で,「それを言われちゃおしまいだな」と気持ちが萎えてしまったのですよ.
以前から,つらそうな患者さんに声をかけるのは苦手なほうでした.「つらそうだな」と思っても,それを「同情」ととられるのではないかと思うとうまく表現できず,結局はうまく声がかけられません.それでも,つらい思いを話されたときには,「つらいんですね」と教科書どおりの形から入って,なんとか思いを聞いてきたのです.しょせん受容と共感なんてあり得ないなら,それも偽善的な自己満足に過ぎないのか…….患者さんとかかわるのが,つらい今日この頃です.(26歳・女性・透析室)
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