連載 木挽先生のすべらない精神科実習指導・2
「傾聴・受容・共感」するってどういうこと?
木挽 秀夫
1
1名古屋市医師会看護専門学校
pp.111-113
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100899
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「傾聴・受容・共感」。この言葉を聞くと、唱えていればいつでもなんでも許される免罪符のようなイメージがあります。この言葉について、私は必ず精神看護学の導入のときにもう一度、学生に確認をします(本校の学生は、精神看護学を受講する段階で基礎看護学実習を終えています)。
「精神的不安があって寝付けない患者さんには、どのように対応しますか?」と尋ねると、学生は、「患者さんの不安に対して“傾聴”し、内容に対して“共感”することで……」と、かなりの高確率でこの言葉を使います。思わずexcellentと叫びたくなります。しかし、「傾聴とは、どのようにして聴くのですか?」とさらに聞いていくと、これまた高確率で間が空きます。しばらくして、「患者さんの苦痛がわかるように心を傾け、その人の思いを……」と学生は言いますが、「では、心を傾けて見せてください」。もうここまで来るとほとんど嫌がらせの域で、学生は困惑、クラスはざわめきます。
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