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はじめに
外来患者の様相の変化,なかでも大病院における受診患者の変様は,近年とくに著しい.具体的には,外来で医療処置を受ける人々,在宅で医療処置を継続している人々,あるいは生活行動の変更や服薬継続を要する人々の増加である.現在,それらの人々に必要な看護ケアは,病院の外来で確実に提供されているだろうか.
もう15年以上も前になるが,筆者は,胃切除後の人々を対象に外来で調査する過程で,術後のさまざまな後遺障害に苦しんでいる人が少なくないこと,調査後のサービスとして行なった相談・指導により,摂食にかかわる困難が軽減・解消することを経験した.そして,それらの後遺障害の多くを予防・軽減するための原則は,医学・看護の成書に記載されているにもかかわらず,外来では人々にそれが行き届いていないことに問題があると考えるようになった.すなわち,これらの問題は,人々が自身の生活行動を,健康問題による身体変化に適応させることができるような支援の不足によるものであり,生活行動の支援という看護の専門性を発揮するためには,外来での看護提供システムを構築する必要があると考えるようになった.そして,人々の困難に対しては,継続して同じ看護職者が対応することが効果的との考え方に基づき,「外来プライマリナーシング」1)という概念を提唱し,実践してきた.また,外来での看護相談・指導を発展させるための活動の一端として,いくつかの調査報告2~5)を行なってきた.
本稿では,筆者の研究・活動・経験を踏まえ,最近十数年における外来看護に変化をもたらした背景について概観し,とくに相談・指導に焦点を当て,外来で看護の専門性を発揮していくための今後の課題について述べる.
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