特集 スペシャリストが伝えたい消化器の症状マネジメント
Ⅳ.知っておこう! 消化器症状の知識
フィジカルアセスメント
岡村 英明
1
1NTT東日本札幌病院看護部/診療看護師
pp.536-541
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_536
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フィジカルアセスメントとはなにか
看護師の実践のプロセス,すなわち「看護過程」とは,「看護の知識体系と経験に基づいて,対象の看護上の問題を明確にし,計画的に看護を実施・評価する系統的・組織的な活動」とされる1).この看護過程において,看護上の問題(すなわち健康課題)を把握するため,患者の訴えを聴き,また身体診察を行って必要な情報得た上で,それらに基づいて身体の状態を総合的に評価すること,このプロセスがフィジカルアセスメントである(図1).
このプロセスには必要な介入を検討,実践したのち,行った看護ケアの効果を評価することが含まれる.とくに患者の症状マネジメントにおいて,看護師は患者の容態の増悪やその予兆を早期に発見し,緊急性や重症度を判断しつつ,看護介入の必要性や方法を検討,決定し,必要に応じて迅速に医師へ報告する.
このことを達成するためには,まず主訴を含めた現病歴や社会・生活歴など主観的情報を得た上で身体診察を行い,主訴に関連のある所見,すなわち客観的情報を得る.それら主観的情報と客観的情報を統合して評価することで健康上の課題(症状の原因や苦痛,それらによって生じる生活上の支障)を明確にし,解決に向けた介入方法を検討する.このプロセスが症状マネジメントにおけるフィジカルアセスメントである.
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