特集 女性がん患者のリンパ浮腫ケア
患者の声
リンパ浮腫を発症して
新井 侑子
pp.653
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100483
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気づかなかったリンパ浮腫
右乳がんの手術を受けてから2年半近くたったとき,右腕が太くなりはじめました.その時点では,それがリンパ浮腫であるとは認識しませんでした.医師から,「浮腫は起こりませんよ」と言われており,当時服用していた薬の副作用で体重がとても増えていたので,肥満によるものと思ってしまったのです.
その後の検診で医師から浮腫を指摘されましたが,治療についての指示はありませんでした.私は,この先どのような状態になるのか知らないまま過ごしていました.そのうち,入浴や日常の家事でさえ浮腫に響くようになり,腕はますます太くなりました.外を歩くときは,重くて片方の手で支えなければならず,チューブに空気をいっぱいに入れたような腕は,曲げるのさえ不自由を感じるようになりました.洋服はほとんど着られなくなり,太い腕に合せてオーダーしたり,直せる服は袖にマチを入れたりし,その費用も大変でした.下着も袖口,袖付を大きく切り開いて着るようになり,このままどこまで太くなるのか不安は増すばかりでした.
心配した夫は乳がんの医学書をいく冊も調べてくれましたが,リンパ浮腫についての記述は数行のみ,治療については皆無だったそうで,どうすれば良いのかわからぬまま,朝夕,手先からつけ根までをさすってくれました,それだけでも手の甲と手首の浮腫は退いていきました.
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