誌上事例検討会
腹臥位療法が効を奏さなかった事例に学ぶ
眞島 千歳
1
,
丸川 征四郎
2
,
福家 伸夫
3
,
行岡 秀和
4
,
高橋 哲也
5
,
太田 秀樹
6
1そらとびねこ訪問看護ステーション
2兵庫医科大学救急・災害医学
3帝京大学医学部附属市原病院救急集中治療センター
4大阪市立大学医学部附属病院救急部
5群馬県立心臓血管センターリハビリテーション課
6医療法人アスムスおやま城北クリニック
pp.888-893
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100527
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事例紹介
私は訪問看護師として約17年間,さまざまな健康障害を抱えながら地域で暮らす人々の看護に携わってきました.1998年,有働尚子氏の厚生省長寿科学総合研究論文「低ADL(高齢)患者の腹臥位療法の効果について」1)を読み,在宅で腹臥位療法に取り組み始めました.導入当初の最大の目的は排便コントロールでしたが,やり始めてすぐに,多くの文献2)で報告されているとおり,この腹臥位療法は,排便だけでなく呼吸状態や意識レベルの改善にも効果があることを実感しました.
以来,現在までに約30例に腹臥位療法を実施してきました.多くの事例で期待以上の効果が得られ,本人だけでなく家族や在宅を支える人々の喜びと意欲に結びついていると感じます.しかし,なかには他事例と同様に施行したにもかかわらず,効果が得られなかった事例も経験しました.
本稿では,多面的な効果が報告されている腹臥位療法に関して,私が在宅で経験したなかから,効果が得られなかった1事例を紹介します.なお,事例紹介にあたっては本人がすでに故人のため,家族に趣旨を説明し了承を得ております.
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