調査報告
治療計画を立てるための患者評価尺度(INTERMED)
町田 いづみ
1
,
岸 泰宏
2
,
佐藤 武
3
,
保坂 隆
4
1埼玉県済生会栗橋病院
2ミネソタ大学精神科
3佐賀大学保健管理センター
4東海大学医学部精神科
pp.342-348
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100421
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医療現場では,さまざまな患者情報が必要となるため,各職種はそれらの情報を熱心に聴取する.しかし残念なことに,こうして取られた情報であっても,患者の全体像を捉えられるだけの内容に至っていることは少ない.たとえば,一般科の情報は身体的情報に,また精神科の情報は心理的情報に偏り,さらに社会的情報に至ってはまったく取られていないこともある.
このことは結果的に,身体疾患医療と精神疾患医療の相互作用が考慮されていないことを意味する.しかし,身体疾患に罹患した患者に,精神科的問題が多いことは周知の通りであり1),さらに,精神疾患の治療により,身体疾患の予後ばかりでなく,一般身体疾患医療費も抑制されることが示されている2).こうした事実から,身体疾患患者,精神疾患患者いずれにおいても,身体的・心理的情報は,両者が過不足なく収集される必要がある.しかし現実には,患者から収集する情報内容は,それを収集する者の技量や経験に任されている.また,仮に患者の全体像について理解するに足りる十分な情報が聴取された場合であっても,これまでの多くの医療現場では,それらの情報を客観的に評価し,介入すべき問題点を具体的に示したり,ケアのコーディネーションについて検討したりすることはなかった.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.