連載 In the assisted living シアトル・高齢者ケア事情・2
痴呆症と合併症管理
北野 敬子
1
1アシステッド・リビング
pp.180-183
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100406
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その日,私は新しい入居者・アニーさん(83歳・女性)を受け入れた.
アニーさんはワシントン州の州都・オリンピア市でひとり暮らしをしていた.長年の糖尿病歴があったが,セルフケアがうまくできていなかった.糖度の高い物を食べ血糖値が上がると,R(速効性)インスリンを勝手に時間もかまわず注射していた.医師が幾度となくインスリンの量を調整したにもかかわらず,血糖値をコントロールできずしばしば低血糖で意識を失い病院へ運ばれていたそうだ.だが,アニーさんは自分の親・兄弟も糖尿病なのでこの病気のことならよく知っていると,人の注意には耳をかさなかった.最近視力が落ち物忘れもひどくなったため,息子の希望でこの施設へ入居することになった.
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