特集 糖尿病看護とバーンアウト 「挫折」を宝に!
糖尿病看護とバーンアウト―生みの苦しみ,そして喜び!
原 千晴
1
1北海道大学病院リハビリテーション科病棟
pp.146-148
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100400
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沈黙するMさんとの出会い
私が糖尿病教室運営のスタッフになったのは今から7年前,1996(平成8)年のことです.当時の糖尿病教室は2週間1クール,患者数4人までの少人数制でグループ講義が中心に行なわれていました.最初は先輩の実際の講義を見学しながらオリエンテーションを受けました.そのなかで,私はMさんと出会い,その後4年間のお付き合いが始まりました.
ある日,先輩は,グループ講義中心の教室にもかかわらず,「Mさんには個人面談でかかわってみる」と言いました.Mさんは14歳時発症の1型糖尿病で,挙児希望のため他院から紹介され,CSII(インスリン持続皮下注入)療法導入目的で2年前から当院フォローとなった患者さんです.以前から,入院時には血糖コントロールが改善されても,退院後には悪化することを繰り返していました.今回は当院2回目の入院で,再教育目的も兼ねての教室参加でしたが,グループ内では自分の意見や考えをなかなか言えない方でした.「困っていることは何?」と聞くと「う~ん…」と長い沈黙.それでも先輩はMさんが話しはじめるまで待ち,「私は体力がないから,がんばれないんです」と答えても責めることなく聞いていました.
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