現場から
CAPD患者におけるエポエチン製剤の皮下注射による痛みの比較検討―エポエチンαとエポエチンβの比較
高橋 里子
1
,
大前 和子
1
,
瀧 正史
1
,
有元 克彦
1
,
松原 龍也
1
,
大森 浩之
1
,
東 りえ
2
,
春名 克祐
3
1重井医学研究所附属病院
2川崎医科大学附属病院腎センター
3川崎医科大学腎臓内科
pp.95-97
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100384
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慢性腎不全患者の腎性貧血(CAPDおよび透析導入前患者)に投与される皮下注射用のヒトエリスロポエチン(rhEPO)製剤には,エポエチンα(エスポー皮下用,アンプル入り液剤,キリン-三共,以下EPOα)とエポエチンβ(エポジンS,シリンジ液剤,中外製薬,以下EPOβ)の2製剤がある.両製剤の有効成分はともに遺伝子組み替えで製造されているが,それぞれに生体内の内因性のエリスロポエチンと糖鎖の組成比,および種類に若干の違いは認められるものの,生物学的活性に差異はないと考えられている1).また,両製剤ともに2001年に添加物成分が変更されたが,最新の添付文書によると,EPOα製剤の添加物は,ポリソルベート80,塩酸アルギン,結晶リン酸二水素ナトリウム,等張化剤およびpH調節剤(pH5.5-6.5)で,EPOβ製剤の添加物は,ポリソルベート80,L-塩酸ヒスチジン,等張化剤およびpH調節剤2成分(pH5.5-6.5)となっており,その組成変更後の皮下注時の疼痛に両剤での差があることがすでにいくつか報告されている.このような痛みの差の原因は,添加物の違いによると推定される2,3).
そこでわれわれは,自施設での疼痛の評価とそれらの痛みの差の成績を確認すべく,2002年9月時点での最新組成成分の両製剤を用いて,2回クロスオーバー法による皮下注時の痛みの比較検討を実施した.
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