特集 痴呆高齢者の転倒・転落事故は防げるか?
抑制廃止後の転倒・転落を防ぐケア
今井 秀子
1
1定山渓病院
pp.25-28
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100377
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はじめに
定山渓病院(以下,当院)では,1999年7月29日「抑制廃止宣言」を行ない,職員が一丸となって「抑制はしない」という共通意識を持ち,継続的な事例検討に取り組んだ.その結果,1年8か月後には,1999年6月末現在231件(入院患者366名中)あった抑制をゼロに近づけることができた.当院においてほとんどの抑制は,ベッド柵4本と車椅子Y字固定などであったが,抑制廃止困難事例として抑制をはずすのに時間を要したのが,転倒・転落の事例であった.
リハビリテーション訓練を積極的に行なえば,日常生活行動の維持・レベルアップが図られ,活動的な生活ができるようになるが,その分転倒のリスクはさらに高くなる.当院でも転倒・転落を防ぐために,できる限りの予防策を講じているが,完全に転倒・転落を防ぐことはむずかしい.そこで転倒・転落があったとしても,大きな事故につながらないように,リスクをできるだけ少なくする事前策を講じている.
本稿では,抑制を廃止して以降の当院の転倒・転落事故発生状況と,転倒・転落を防ぐための予防的なケアの取り組みについて,現状を報告する.
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