巻頭カラー連載 看護に役立つ! 人体の神秘の世界へご招待 からだと病気とミクロのはなし⑥
休むことなく生命を維持する心臓と血管
島田 達生
1
,
山口 豪
2
1大分大学医学部看護学科健康科学
2大分大学大学院博士課程
pp.786-787,824-826
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100367
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
動脈硬化が起こるメカニズム
動脈硬化の発生・進展の機序については,傷害・反応説,血栓説,血漿浸潤説,脂質説,動脈壁代謝異常説,流体力学説などの諸説があります.本稿では,傷害・反応説を解説します.
正常な動脈の内膜は,内皮細胞と内弾性板からなります(図1B).しかし,物理的刺激,LDL(低密度リポタンパク質.コレステロールなどにより構成された微粒子),ホモシステイン,毒物などによって内皮が傷害されると,内皮に血小板が付着します.そして,血小板や内皮細胞から出る成長因子によって中膜の平滑筋細胞が内弾性板を破り,内膜に移動します.内膜に侵入した平滑筋細胞は収縮型から合成型に変化し,細胞外に膠原線維,弾力線維,プロテオグリカンを放出します.結果的に,内膜が肥厚し,硬化が始まるのです.
長い年月を経て動脈の内膜はさらに肥厚し,石灰化も加わって内腔がきわめて狭くなり,血流傷害や血栓ができやすい状況が生じてきます.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.