特集 根拠あるケアで患者の苦痛を減らすために 手術の疑問を解決します
手術室で行なわれる安全管理―防止できる医療事故とその被害を最小限にとどめるために
別所 真由美
1
1鈴鹿中央総合病院手術室
pp.727-730
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100347
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近年,多くの医療事故が報告され,医療における安全管理・事故防止のためにさまざまな取り組みが行なわれるようになってきた.手術室においても,高度な医療器械や新しい手術手技の導入,手術件数の増加,複数の職種がかかわることで事故のリスクが高くなり,安全管理・事故防止のための体制作りが重要となってきている.日本看護協会の発表によると,2005年に初回報道された看護者が関与した医療事故の件数は84件1).なかでも多いのは与薬(注射・点滴),処置(体内遺残・左右間違い)であり,手術・処置時のガーゼ等の遺残は相変わらず多く19件となっている.
手術室はさまざまな要因が絡み合い,事故が起こりやすい状況である.手術室看護師は,複数の仕事を同時にこなさなければならず,常に強いストレスに曝されている.また,手術室で必要となる知識・技術は各診療科の疾患に関する知識,術式や生態侵襲に関する知識,手術で使用する器械やME機器に関する知識,麻酔や薬剤に関する知識,感染管理に関する知識,器械出し技術,安全な体位を作るための知識や技術など多岐にわたっている.これらを網羅し,一人前の手術室看護師になるには3年は必要であるといわれている.新人看護師は,特に精神的に過緊張の状態となり,ヒューマンエラーにつながる危険性が高い.これら手術室で起こりうる医療事故の内容を把握し,事故へつながらないようにマネジメントすることが大切である.
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