ぱんせ
―『誕生死・想 262通のハガキにつづられた誕生死』(流産・死産・新生児死で子をなくした親の会編)―命の証として 流産・死産の体験を分かち合う
太田 尚子
1,2
1聖路加看護大学大学院博士後期課程
2天使の保護者ルカの会
pp.639
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100333
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- 文献概要
カードに込められた読者の想い
2002年の春,私がはじめて『誕生死』(三省堂)を読んだとき,赤ちゃんを亡くした母親たちや父親たちの悲しみや苦悩に衝撃を受け,そして何よりも赤ちゃんへの深い愛情に大きな感動が押し寄せてきたことを覚えています.昨年暮れに出版された『誕生死・想』(三省堂)は,その『誕生死』に寄せられた読者カードがそのままとじられた装丁で,同じ体験をした母親たち262名の,文字どおり“想い”が綴られています.
そのなかは,「私の気持ちを代弁している」「同じ気持ちだ」という共感,「ひとりじゃないとわかった」という安心,そして「泣きながら読みました」という悲しみの共有の言葉の数々で埋められ,体験者である読者の「やっと探していた本に巡り会えた!」という衝撃にも似た感動が,直筆の文字からあふれ出てくるかのようです.『誕生死』が,いかに同じ体験をした読者を癒し,励まし,勇気づけたかを読みとることができます.
本書を読み進めて感じたことは,私が運営している流産・死産を経験した家族のセルフヘルプグループの参加者の感想と似ているということです.
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