特集 死産・流産のケア
大切にしてほしい死産・流産のケア
福井 ステファニー
1
,
渡辺 邦彦
1SIDS家族の会
pp.714-717
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903490
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私自身の体験
本稿で私は,赤ちゃんを亡くして苦しむ家族に対して,どうすれば最善のケアができるかを述べたいと思います。16年前の1986年にシカゴで娘のエマを死産で亡くしたとき,私は,病院のスタッフとサポートグループの思いやりのあるケアのおかげで,悲しみと苦しみに耐えることができました。悲哀に沈んだ最初の1週間私を支えてくださったその方々への感謝の思いを私は終生忘れないでしょう。その人たちのおかげで,私は大切な娘を胸に抱くという美しい思い出を持つことができました。娘はすでに死んでおり,私はあまりのショックに錯乱状態になりましたが,私が娘を抱きしめることのできるそれが唯一の機会であることをサポートグループの人たちはわかっていて,私にそうするよう勧めてくださったのです。病院のスタッフが私のために採ってくださったエマの足紋は,今では私の宝物になっています。というのも,それは,私にとって娘が本当に実在したことを証するただ一つの物理的証拠だからです。
この私の例は,子供を亡くした家族に対するケアの一部として,死の瞬間からトータルケアの環境を作り出すことが大切であることをよく示しています。子供が亡くなったとき,親と最初に接触するのは,しばしば医師であり,ナースであり,助産師であり,救急室スタッフです。したがってそうした医療スタッフのケアは,親が正しい回復の道を歩んでいくうえで,はかり知れないほど役立つ可能性があります。
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