連載 母乳育児Q&A
Q 流産・死産のケースへの対応は(断乳—その2)
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.61
発行日 1987年1月25日
Published Date 1987/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207053
- 有料閲覧
- 文献概要
A 赤ちゃんを流産したり死産をした後でも,乳房は当然張ってきます。このようなとき多くの施設では,即,母乳をとめる方法をとっており,最近はプロモクリプチン(パーロデル)内服の処方がなされているようです。しかし,乳腺組織は妊娠とともに発達するので,流産(多くは妊娠3か月以後)や,死産後でも,プロラクチンの作用で乳汁は産生されます。そのような生理的変化に対して,人工的にプロモクリプチンの内服を行なうことは,あまり感心した方法とはいえません。
なぜなら,すでにさまざまなデータのなかで述べてきましたように,経産婦は初産婦にくらべて,母乳の分泌状態が良好だという事実があります。そして母乳は十分出せば出すほど,次回の出産後に母乳分泌状態が良好になるので,今回の妊娠,流・死産という経験を単なる失敗として葬ってしまうのは非常にもったいないことだといえます。ですから,今回の妊娠で発達した乳腺組織は一度十分働かせ,その後で,断乳へ持っていくようにすれば次回の乳汁分泌が良好になるのです。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.