招待席
コミュニケーションで悩むあなたへ―理論と技術を味方に迷信や呪縛を吹き飛ばそう
杉本 なおみ
1
Sugimoto Naomi
1
1慶應義塾大学看護医療学部
pp.495-499
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100305
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――杉本先生が,看護医療学部で教えておられるコミュニケーション学をご専門に選んだきっかけをお聞かせいただけますか.
杉本 私は,子どもの頃から病気がちで,病院でも家でも大人に囲まれ,大人の顔色をうかがいながら育ったので,おのずと人の関係や心の動きに興味をもつようになりました.大学では心理学科に進みたかったのですが,入試に私の苦手な数学を課す大学が多かったので,あえなく断念.それなら,大好きな英語を手段として,英文学や英語学以外の何かを学びたいと考え,コミュニケーション学が学べる国際基督教大学を選びました.さらに理論や研究法を究めようとイリノイ大学へ留学し,コミュニケーション学の修士・博士号を取得して帰国しました.
――小さい頃に病気をなさったご経験が,現在のお仕事につながったのでしょうか.
杉本 幼い頃に病弱だったからと医療の道を志す人も多いようですが,私自身はそれとは正反対で,医療職など眼中にありませんでした.病気のために食事や行動を制限されていた反動から,医療という場からできるだけ遠く離れたいという気持ちのほうが強かったように思います.そんな私に転機が訪れたのは,慶應義塾大学に新設されたこの学部に誘われたときです.実は最終的に命拾いをしたのが,ほかならぬ慶應義塾大学病院でしたので,単なる偶然とは思えませんでした.25年という月日を経てはじめて,病児としての自らの過去と向き合う心の余裕が生まれたということかも知れませんね.
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