特集1 ドキドキしない心臓リハビリテーション
急性期から安全な運動療法を行なうために
長山 雅俊
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1(財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院心臓リハビリテーション室・循環器内科
pp.1088-1095
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100227
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はじめに
近年,急性心筋梗塞に対する急性期冠血行再建や人工心肺装置を使わない低侵襲冠動脈バイパス術の普及により,心臓リハビリテーション(以下,心リハ)を取り巻く環境も大きく変わってきた.予後は著しくよくなり,入院期間も短く,恐ろしいほどのスピードで日々が過ぎていく.ともすれば何の介入もできないまま,1週間程度の入院期間で退院日を迎えてしまうことも多いのではないだろうか.
急性心筋梗塞で入院する患者や家族の身になってみれば,「命が危ないかも知れません」というインフォームドコンセントを受け,気持ちの整理もままならず,不安を抱えたまま退院させられていく.また,術後であるにもかかわらず,医師・病院の都合を優先しているとしか思えないような,入院期間の無理な短縮を感じるケースも少なくない.
一方,急性期に冠動脈造影をしなかった急性心筋梗塞患者に対する急性期心リハの現状はどうなっているのだろうか.昔は冠動脈の状態もわからないまま,発症までの経過や心電図,心エコー所見などからの病態把握に躍起になっていた.そして,病棟内歩行前後の心電図変化から,残存狭窄や不整脈のリスクを想像していたものだ.
本稿では,急性心筋梗塞をはじめとした心疾患患者に対する急性期から回復期(phaseⅠ~Ⅱ)心リハの現状,および注意点についてまとめ,ナースとしていかに心リハへ介入すべきかを考えてみたい.
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