特集1 ドキドキしない心臓リハビリテーション
ナースが行なう包括的心臓リハビリテーションの可能性
山口 悦子
1
1(財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院
pp.1084-1087
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100226
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はじめに
心臓リハビリテーション(以下,心リハ)は,急性心筋梗塞症例を中心に過去70年にわたって行なわれてきた.1930年代は長期臥床の時代であり,1940年に入ってから長期臥床による弊害,すなわち運動能力の低下をはじめ,心拍数の増加,血圧調節障害,情緒不安定,抑うつ状態,家庭生活・対人関係の不調,社会復帰への不調などの精神的・社会的脱調節(1097ページを参照)が報告されるようになった.しかし,1960年代になり,Saltinらの安静の弊害とトレーニング効果に関する研究1)に裏づけられ,早期離床・早期退院の考え方が定着するなど大きな転換期を迎えた.また,心筋梗塞が冠動脈の動脈硬化によるものであることから,1980年代後半からは単に運動能力の再獲得だけではなく,再発を防ぎ,質の高い生活を送るための包括的リハビリテーションが主流となってきた.
このような背景により,循環器疾患患者にかかわるナースは,①患者の生命危機状態へのケア,②合併症の問題を十分配慮したうえでの早期リハビリテーション,③入院日数が短縮される中で,患者が安心して社会復帰できるような介入,④再発予防をめざした患者教育,⑤生活習慣変容のための教育的かかわり,といったさまざまな専門性を有する能力が求められている.
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