特集1 ドキドキしない心臓リハビリテーション
―急性心筋梗塞患者の問題にあわせた―心臓リハビリテーションの実際
角口 亜希子
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1(財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院看護部
pp.1096-1103
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100228
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心筋梗塞の急性期には,心不全の増悪・再梗塞・心破裂・不整脈といった合併症が起こる可能性があり,これらの問題を十分考慮したうえでリハビリテーションを進める必要がある.患者と看護師が“ドキドキ”しないリハビリテーションを進めるために,また患者自身で再発を予防し,再び“ドキドキ”しなくてよい生活をおくるために,看護師が行なうべきかかわりについて,ある一事例を紹介する.
心筋梗塞ってなに?
心筋梗塞とは,心臓の栄養血管の「冠動脈」が閉塞し,閉塞部位から先の血流が途絶えてしまうことによって心筋の壊死をきたす状態である.その結果,心筋の収縮性が低下,または消失し,梗塞巣が広いほど心機能の低下が著明になり,心拍出量の減少を生じる.これにより,末梢臓器・組織への十分な血液供給ができなくなるため,頻脈・心拡大・心肥大・交感神経活性の亢進や末梢循環の代償機構(動脈系抵抗血管の収縮による臓器灌流圧の維持,減少した心拍出量の重要臓器への再分布,静脈系容量血管の収縮による心臓への静脈還流の増大)などが働く.しかし,この代償機構のバランスに破綻をきたすと,心不全や心原性ショックに陥ってしまう.
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