調査・研究
安全な殿部筋肉内注射を行なうために
佐藤 好恵
1
1関西福祉大学看護学部
pp.450-454
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100994
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筋肉内注射の特徴
筋肉内注射は,油性の薬液や懸濁液,組織に対して刺激の強い薬液などを注射する場合に適用されている.また,筋は毛細血管が豊富であるため,薬液の吸収速度は皮下注射に比べて約2倍はやい.このため,筋肉内注射は,注入された薬液の血中濃度や薬液自体の組織への影響を考慮し,皮下注射と厳密に区別されるべきである.
さらに岩本1)は,筋肉内注射では,注射部位の選択や針の刺入深度・角度によっては神経の損傷を起こす危険があると指摘している.また石田ら2)は,筋肉内に注入されるべき薬液が筋まで到達せずに皮脂内に注入された場合,重篤な組織傷害をきたす危険性があることを報告している.
これらのことから,筋肉内注射では,注射針が筋に到達するまでの組織の厚みを明確にすることが重要である2,3).そして,神経・血管の損傷を避けるために,安全で適切な注射部位を選択することが必要であると考えられている4).そこで本稿では,現在までに報告されている文献から,殿部の筋肉内注射部位についてどのような内容が検討されているかを紹介する.
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