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はじめに
1992年に,わが国ではインターフェロンa-2b(IFNa-2b)を皮切りに,C型慢性肝炎に対して各種のインターフェロン(IFN)が保険適応となった.しかし,C型慢性肝炎の中でもC型肝炎ウイルス(HCV)のジェノタイプが1bで,かつ高ウイルス量の症例(以下,1b高ウイルス型)は難治性であり,国内患者の大半はこの類型である.
2005年3月,厚生労働省の研究班は,この慢性C型肝炎1b高ウイルス型の治療にペグインターフェロンa-2b(PEG-IFNa-2b;ペグイントロン(R))とリバビリン(RBV;レベトール(R))の48週間併用療法を第一選択とする指針をまとめた.
PEG-IFNa-2bは生体内での滞留時間が長いため,週1回のみの投与が可能なインターフェロンである.また,RBVは抗ウイルス薬であり,C型肝炎治療薬として投与されるが,単独療法は無効であり,IFNa-2bやPEG-IFNa-2bと併用することで,それらの単独投与に比べて,高い治療効果を出すとされている.
PEG-IFNa-2bとRBVの併用療法(以下,併用療法)は自覚症状が少なく,週1回の投与が可能であることから,1b高ウイルス型の治療の主流になっている.また,従来のインターフェロン導入時に比べて入院期間も短くなり,およそ2~3週間の入院ですむことが多い.そのため,短い期間で,患者が併用療法について十分理解し,副作用をコントロールして日常生活を可能な限り快適に過ごせるよう自己管理を支援していくこと,長期に渡る治療を中断しないよう,継続の必要性を認識できるよう看護していくことがポイントとなる.加えて,入院期間のみならず,外来通院から入院,その後再び外来へと移行していく一連の経過をサポートしていく必要がある.
本稿では,併用療法を受ける患者の看護問題について,主に入院中の看護に焦点を合わせてモデルケースを提示し,看護の展開について述べる.
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