特別記事 現代の保健医療実践におけるモチベーショナル・インタビューの可能性
3.糖尿病診療にモチベーショナル・インタビューを取り入れる意義
大石 まり子
1
Oishi Mariko
1
1大石内科クリニック
pp.162-165
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100026
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はじめに
2005年8月,ワシントンDCで開催されたAADE(米国糖尿病教育者協会)年次集会に参加した.AADEでは,2004年に糖尿病自己管理教育(DSME)指標として“AADE 7 Self Care Behaviors”が発表され,7つの具体的な自己管理行動目標が設定された.2005年の学会では,これをいかに実際の糖尿病ケアにおいて展開するかが大きなテーマとなっており,そのための手法として行動科学的アプローチやパフォーマンス理論に基づいた指導アプローチの発表が目立った.
その中で,モチベーショナル・インタビュー(MI)は,心理療法理論と哲学に基づいた,行動変化を促すための明確な技術の枠組みをもっており,心理療法を専門としない医療者にとっても理解しやすく,臨床の場で応用できるのではないかとの印象をもった.AADE年次集会参加後に糖尿病領域でのMI専門家であるWelch先生を訪問したのを機会に,MIの日常診療への応用について考えてみた.
なお,ここでは,広く支援を求める人という意味で「患者」の代わりに「クライアント」という言葉を用いる.
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