特別記事 現代の保健医療実践におけるモチベーショナル・インタビューの可能性
1.モチベーショナル・インタビューとの出会い
森川 浩子
1
Morikawa Hiroko
1
1福井大学医学部看護学科
pp.151-154
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100024
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モチベーショナル・インタビュー(Motivational Interviewing:MI)という言葉を聞いたとき,初めて聞く言葉であるにもかかわらず,遠い記憶の痕跡を感じた.1972年出版された『きき方の理論』1)だ.この本は,「HearでなくListenこそが,円満な人間関係や創造性の源になる」と訴え,単なるハウツーものではなく,深く洞察させる名著であった.しかし,いつの間にかこの本は書棚の隅に埋もれ,いかに論理的に相手を説得することができるか,「聴く」ことより「言う」ことにエネルギーを注ぐようになっていた.
今回,モチベーショナル・インタビューとは何かを探求する機会を与えられ,改めて『きき方の理論』のスピリットを学ぶことになった.日本には,「阿吽の呼吸」という言葉があり,「あえて言うまでもあるまい」というやり方で,ぎすぎすしない人間関係を保ってきた.しかし,人々の価値観や好みが多様化する現在にあって,「あうんは,もうあかん」のではないだろうか?
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