連載 現場の教育力がプリセプターシップを変える―事例で学ぶ方法と理論④
「なぜプリセプターがロールモデルなのか」を再考する
渋谷 美香
1
1(社)日本看護協会看護教育研究センター
pp.73-78
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100014
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
“お手本”を求められるプレッシャー
プリセプターや後輩を指導する役割を初めて担う時,多くの看護師は強い責任感のもと,「後輩の質問に的確に答えられる先輩でありたい」と思う.ところがいつの間にか,「先輩なのだからどんなことも知っていなければならない」という気持ちを強く抱くようになりがちである.後輩に何か尋ねられた時,自信を持って答える自分自身に,誇らしさとやりがいを感じる.しかし逆に,質問にうまく答えられなかったり,失敗してしまったりした時,「立派な先輩でありたい」と目指す姿と自分自身との落差に,恥ずかしさ・情けなさ・怒りを感じる.これは時に,激しい自信喪失につながり,指導役割そのものに対する意欲を失わせてしまう.
プリセプティに対する期待の高まりは,プリセプティの成長にとっても決してマイナスではない.しかし,経験できる範囲の拡大によってプリセプティの失敗も増えてくる.指導を受け入れないような態度,他のプリセプティとの到達度の差といった,プリセプターにとって受け入れ難い結果も次々と出てくるものだ.そんな時,真摯に取り組んでいるプリセプターほど,自分の指導が悪いからだと自身を責めてしまうのはなぜだろうか.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.