ぱんせ
「患者」を中心に考えるナースの勇気
高島 尚美
1
1横浜市立大学医学部看護学科
pp.60-61
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100008
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こんな現場,本当にあるの?!
主人公の美空あおいは,巨大医療グループ系列病院の3年目のナースで医師顔負けの実力の持ち主である.『N’sあおい』は,医療の現状がナースの目を通してえぐりとられている.たとえば経営の問題や医療事故の問題(MRIとペースメーカーのくだりはありえないと思うが)などなど,医療の現場の大切なテーマがたくさん描かれている.
正直なところ最初は,これが本当に医療の実態なのかと目を疑った.たとえば,ナースが医師にお茶を出したり,問題を起こしたからといって関連病院に回されたり,セクハラを受けたり,という場面は私が現場でナースをしていた10年以上前にも目にしなかった.けれども2巻のカバーの裏側をみると,著者の言葉として「取材を重ねるごとに次から次へと驚くような話が聞けます」と記載されているから,これは事実でもあるのだろう.「自分はもしかしたら一部の恵まれた環境しか知らなかったのか」とうろたえながらも,結果的には一気に読んでしまった.夢中で読んだのも事実だった.その魅力の源を振り返ってみることにする.
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