特別記事
―質の高い看護を提供し続けるために―知の共有の前提となるコンテクストマネジメント
大串 正樹
1
Ogushi Masaki
1
1北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科
pp.43-47
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100006
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はじめに
看護マネジメントを体系的に論じる際には,さまざまな切り口が考えられる.それはマネジメントに多様な側面がある証左であり,だからこそ,その実践には高い能力が求められるのである.
しかし,マネジメントは看護管理者だけの問題ではない.スタッフが時に主任やチームリーダーを任されるなど“ミドル”として管理的立場に立たされることもあるからである.これは看護がチームによる知的労働だから生じる現象であるともいえるが,個々の看護の知の実践・看護的行為がマネジメントの及ばない経験的な要素を含んでいるという根源的な理由もある.つまり,効果的な看護マネジメントが行なわれるためには,チームを構成するスタッフ1人ひとりの主体的な関与が欠かせないのである.
本稿では看護マネジメントを知識という視点から体系的に捉え直し,これを論じていくものであり,特に看護における知識の共有の難しさに焦点を合わせて考えていく.すなわち「看護の知の共有・活用を促進しよう」という議論から一歩踏み込んで,その知識の背景にある根源的なコンテクストという概念に立ち返って論じるものである.それによって,業務を滞りなく行なうという側面が強調されがちな看護マネジメントを,本質的に知の視点から論じることが可能となるばかりか,看護をとりまくさまざまな問題についても,新たな視点が得られると考える.
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