境界領域 骨・関節の病理学序章・1
老化機構の理解を前提として
三友 善夫
1
Yoshio MITOMO
1
1東京医科歯科大学医学部第一病理学教室
pp.444-452
発行日 1969年6月25日
Published Date 1969/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904086
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はじめに
骨・関節においても他の臓器と同じように,年齢に伴う病変のない生理的範囲内での形態学的変化と病変との問に判然とした識別をつけることは極めて困難である.しかしながら骨・関節に見られる病変を病理形態学的に把えて,その成り立ちや本態を適確に理解するためには,生理的範囲内の骨・関節の年齢の増加に伴う変化(加齢的変化),いわゆるDevelopment,Maturity,Ageingなどに関係する構造的特徴を十分に知る必要がある.骨は問葉性細胞由来の造骨細胞(骨芽細胞)と破骨細胞によつて成長発育が行なわれ,比較的Life circleの長い造骨細胞による骨形成とそれの短い破骨細胞の骨吸収が繰り返えされている.とくに,これらの細胞間物質である膠原線維が骨のAgeingに積極的な役割を果している.2つ以上の骨が結合して作る関節では,その関節端に軟骨があり,軟骨基質内に含まれる多量の粘液多糖類と膠原線維が軟骨のAgeingの要素となつている.骨・関節という可動性臓器は外因性の力学的作用によつてその活性が維持され,発育・成長が続けられていることは骨・関節の廃用性萎縮などの存在でも十分に理解できよう,この骨・関節の構造的活性は膠原線維ならびに粘液多糖類を含む結合組織に加えて,カルシウム,マグネシウム,燐酸などの無機物質の代謝に依存され,さらにホルモン,ビタミン,酵素が強く関係している.
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