招待席
大自然が持つ癒しの力‐‐医師として,自然写真家として伝えたいこと
井上 冬彦
1
Inoue Fuyuhiko
1
1井上胃腸科・内科クリニック
pp.1-5
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100005
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――臨床医である井上さんが,写真家としても活動することになったきっかけを教えてください.
井上 子どもの頃の夢が,動物学者としてアフリカの大地に立つことだったのです.結局,医学の道を志したのですが,いつかはアフリカ・サバンナへ行ってみたいと思っていました.それが実現したのが32歳.目にしたものすべてに感動し,それを誰かに伝えたいと思って写真活動に入りました.しかし,当然ですが,最初はうまく撮れません.それが悔しくてアフリカに通い続けるようになりました.だから,「感動を伝えたい」という思いが僕の原点なのです.
写真と医療の目的が重なった瞬間
――クリニックへ写真を展示するなど,写真を癒しの手段として活用されていますが,なぜでしょうか.
井上 アフリカに通い始めて8年目に,はじめて写真展を行ないました.これが僕の運命を変えたのです.会場に来た多くの人たちが「癒されました」「元気になれました」という感想を述べ,いきいきとした表情で帰っていったのですから…….医の原点である「癒す」という行為が,写真によって実現したという喜びを感じました.その瞬間,それまで趣味でやっていた写真活動が医療と同じ方向性を持ち始めたのです.こうして,大自然が持つ“人を癒す力”を写真で表現したいと思い始めました.
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