連載 研修医に贈る 小児を診る心得・1【新連載】
コミュニケーションの前提になるもの
加藤 英治
1
1福井県済生会病院小児科
pp.1316-1317
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107667
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私は,福井市にある福井県済生会病院で小児のプライマリ・ケアの診療でほとんどの時間を過ごしている昭和50年卒の小児科医です.これまでに学んできた子どもを診察する際の心得を,これからの連載でお話しします.
私と20年近くのお付き合いで,軽い知的障害をお持ちの熱心に子育てをしているAさんがいらっしゃいます.Aさんは,待合室で遠慮なく周囲のお母さん方に声をかけ,大きな声で話すので,隣に座ったお母さんと小児科外来のスタッフにとって困り者です.しかし,Aさんは,私にとって若い先生を評価する有り難いバロメーターです.「部長先生,部長先生」と言って普段は私に子どもを見せますが,新たに赴任した小児科医がいると必ずその医師の診察を希望します.Aさんが新しい医師を気に入ると,私が診察に出ているのにもかかわらず,その医師のいる診察室に子どもを連れて行きます.だが,気に入らない医師の場合は二度とその医師を希望しなく,「やっぱり部長先生に診てもらわないと」と言って私の診察室に入って来ます.
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