連載 病とともに紡ぐ援助論・6
「自然の力」/「健康の終末」
ひらす けい
pp.812-815
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902680
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2度目の自宅療養は梅雨明けとともに始まった。年々暑さを増していく夏期の自宅での暮らしは,身体に応えるだろうと思ったが,予想外にしのぎやすい日々を送っている。川辺に近いマンションの4階は戸を開け放しておくと,心地よい風が入ってくる。体力低下のため,勢い臥せる時間が多くなるわけだが,身体の上を,そっと撫でるように風が通りすぎていくのを感じることは,細胞と自然の境界が取り払われたような解放感が与えられるようでもあり,私の心にこのうえない安らぎをもたらしてくれる。
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