講座
死産の予防について
小林 敏政
1
1長野日赤
pp.21-25
発行日 1952年8月1日
Published Date 1952/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200158
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現在の世相を反映しているのか人工妊娠中絶が激増して居りだれも赤ちやんをほしくないかと思いますと,その反面に吾が子がほしいという方が相当あります。かような人が折角何カ月かの間,体内に宿し胎動と腹部の膨大とを通して丈夫な吾が兒をみたいと願つていたのにこの世に孤々の声をあげえずに葬りら去れる——つまり死産ですが——のが相当多いと考られます。助産諸婦姉がこの予防が一大関心事であることは当然と考えられます。
然らば一体死産とはどういうことかと考えますと流早産と一寸違い,死産とは生産に対する言葉が大体皆さんがよく御承知でしようが,昭和21年9月厚生省令第42号規定第3条にこの規定が死産とは妊娠第4カ月以後に於ける死兒の分娩をいゝ死兒とは分娩後において心臟鼓動,隨意筋の運動及び呼吸のいづれをも認めないものをいう,とあつて,之は分娩直後の兒の生死状態についていうのです。従つて第4カ月以後ならば流産,早産,満期産の別なく起りうるわけで,これを規定通り嚴密に解しますと母体内或は産道,通過中,既に死亡したもので,母体外に排出されて死亡したものは除外されるわけですが,実際には仮死から直死に移行したものも含めて居る方が多いようです。
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