ケースレポート
夫との性的関係に失調を来した外来妊婦の援助
佐藤 珠美
1
,
竹ノ上 ケイ子
2
1佐賀医科大学看護学科臨床看護学講座
2前・佐賀医科大学看護学科
pp.1001-1007
発行日 1998年11月25日
Published Date 1998/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903463
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はじめに
産婦人科外来や集団指導の場に,妊婦やその夫が性にまつわる質問や相談を,直接持ち込むことはほとんどない。これは,妊娠中に性の問題が存在しないということではない。性をタブー視する見方,相談することは恥ずかしいことだという思いなどが影響して,性の問題が抑圧され,潜在化しているためであると思われる。なぜなら,個人指導の場面では,個室でプライバシーが守られる環境であるためか,時折,性の悩みが聞かれるからである。その内容は,妊娠中の性に関する知識の不足や誤解に基づくもの,妊娠したことで性的関心を失ったり,性交による流早産や胎児への影響を心配するもの,夫の性欲とのアンバランス,また性的役割に対する不満などである。妊娠中の性の援助は,他の保健指導と同様に重要だと言われながらもほとんど対応できていないのが現状である。
そして,参考にできる事例の報告や専門書はまだ少ない。そこで,夫との性的関係に失調を来した妊婦のプロセスレコードをもとに,妊娠期の性の問題と援助について考察したことを報告する。
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