研究・調査・報告
入院中のハイリスク妊婦と夫への援助—健康的な家族機能を獲得するために
山崎 あけみ
1
1京都大学医療技術短期大学部専攻科
pp.704-709
発行日 1997年8月25日
Published Date 1997/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901764
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はじめに
人間は生まれた後,成長する過程で様々な健康問題を克服し生きてゆく。ひとつの家族もまた同様に,誕生し成長する過程で,その家族にとっての様々な健康問題に関する最善の対処機能を身につけてゆく。私たち助産婦や母性領域の看護婦がケアにおいてかかわるところは,人間の誕生と成長のプロセスであるが,それは家族の形成のプロセスであるとも言えるのではないだろうか。
特に夫婦にとって第一子の妊娠期は,家族ライフサイクルにおいて親としての生活への準備という重要な成長過程の時期である。妊娠期間中,夫婦はそれまでの相互役割の再編成を余儀なくされ,それに伴う日常生活の変化は危機的状況をもたらす可能性がある。欧米の古典的文献では夫婦にとって親時代への過渡期には,家族の形成期としても特別な援助の必要性があると述べている1,2)。
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